無塩バターのレシピしか手元になく、有塩バターだけが冷蔵庫にあるという状況は、パン作りの中でよく起こります。実は少量の配合であれば、有塩バターに置き換えてもパンはきちんと焼き上がります。ポイントは塩分量の考え方を知っておくことです。
有塩バターには食塩が含まれているため、レシピ通りに置き換えると塩味や発酵の進み具合にわずかな影響が出ることがあります。ただし、この影響は配合や作るパンの種類によって差があります。
この記事では、無塩バターと有塩バターの違いから、代用するときの塩分調整の考え方、注意したいパンの種類までをご紹介します。今日のパン作りの参考にしてみてください。
無塩バターと有塩バターの違いを整理する
パン作りに使うバターを選ぶとき、無塩と有塩のどちらを使えばよいか迷う場面があります。ここでは、それぞれの塩分量の違いと、パン作りで無塩バターが基本とされる理由から見ていきます。
無塩バターと有塩バターの塩分の違い
文部科学省の食品成分データベースでは、有塩バターの食塩相当量は100gあたり1.9gとされています。食塩不使用バター(無塩バター)の食塩相当量は、同じ基準で100gあたり0gに近い値です。
数値だけを見るとわずかな差に感じられますが、パン作りで使うバターの量は多くても数十グラム程度です。生地に含まれる塩の量はレシピ全体の仕上がりに関わるため、この差が発酵や味に響くことがあります。
市販されている商品によって添加量には幅があるため、正確な数値は商品パッケージの表示でも確認できます。
なぜパン作りでは無塩バターが基本とされるのか
パン作りのレシピの多くは、無塩バターを使う前提で塩の配合量が決められています。塩には小麦粉のグルテンを引き締める作用があり、生地の伸びや発酵の進み方に関わります。
無塩バターを使えば、レシピに書かれた塩の量だけを正確に生地へ加えることができます。有塩バターを使う場合は、バターに含まれる塩分もあわせて考える必要があるため、無塩バターの方が扱いやすいとされています。
有塩バターで代用した場合に想定される変化
有塩バターで代用すると、塩分がわずかに多くなる分だけ味が濃く感じられることがあります。また、塩には酵母の発酵を穏やかにする働きがあるため、発酵の進み具合にも多少の変化が出る場合があります。
ただし、こうした変化は使うバターの量やパンの種類によって差があります。バターの配合が少ないパンでは、影響がほとんど感じられないケースも珍しくありません。
| 種類 | 食塩相当量(100gあたり) | 主な用途 |
|---|---|---|
| 有塩バター | 1.9g | 料理全般、トーストなど |
| 食塩不使用バター(無塩バター) | 0gに近い数値 | パン・お菓子作り |
Q. 無塩バターと食塩不使用バターは同じものですか。
A. はい、同じものです。食塩を人為的に加えていないという意味で、食塩不使用バターと表記されることが増えています。
Q. 有塩バターにも発酵バターはありますか。
A. はい、有塩タイプの発酵バターも販売されています。風味が強く出やすいため、配合や好みに応じて選ぶとよいでしょう。
- 有塩バターの食塩相当量は100gあたり約1.9g
- 無塩バターの食塩相当量は0gに近い
- パン作りは無塩バター使用が基本
- 有塩バターは風味と発酵にわずかに影響する
無塩バターを有塩バターに代用する具体的な方法
無塩バターがない場合でも、塩分量の考え方を押さえておけば有塩バターで代用できます。ここでは、実際の計算方法と代用時に意識したいポイントを見ていきます。
代用の基本的な考え方
無塩バターを有塩バターに置き換えるときは、まず同じ重量のバターに置き換えることが基本です。バターの油脂としての役割は塩分の有無に左右されにくいためです。
置き換えたあとは、レシピに含まれる食塩の量を少しだけ減らして調整します。有塩バターに含まれる塩分の分だけ、生地全体の塩分が多くならないようにする考え方です。
塩分量の計算方法
有塩バターの食塩相当量を100gあたり1.9gとして計算すると、使用するバターの重量に0.019をかけることで、バターに含まれる塩分量の目安がわかります。
例えば、無塩バター20gを有塩バターに置き換える場合、20g×0.019で約0.38gの塩分が含まれる計算になります。レシピの食塩量からこの分だけ差し引くと、全体の塩分量をおおよそそろえることができます。
塩を後から加える製法との違い
フランスパンなどのハード系パンでは、塩をこね始めではなく途中で加える製法が使われることがあります。有塩バターを使う場合、バター内の塩分は生地に後から溶け出す形になるため、この製法に近い状態が生まれます。
塩の入るタイミングが変わることで、生地の伸びやミキシング時間に多少の違いが出ることがあります。仕上がりの厳密な再現を求める場合は、この点も踏まえておくとよいでしょう。
少量配合のパンなら細かい調整が不要な理由
食パンやロールパンのように、小麦粉に対するバターの配合が少ないパンでは、有塩バターに含まれる塩分量そのものが少なく、調整をしなくても仕上がりに大きな差が出にくいとされています。
一方で、バターを多く使う配合ほど塩分の差も大きくなります。次の章で紹介するパンの種類ごとの注意点も、あわせて確認しておくと安心です。
1. 同じ重量のバターに置き換える
2. バターの重量×0.019で塩分量の目安を出す
3. レシピの食塩量からその分を差し引く
4. バターの配合が少ない場合は調整を省略してもよい
- 無塩バターと同じ重量の有塩バターに置き換える
- 塩分量はバター重量×0.019で目安がわかる
- 差し引いた分だけレシピの食塩を減らす
- 配合が少ないパンは細かい調整をしなくてもよい

パンの種類・配合で気をつけたいポイントと保存のコツ
有塩バターに置き換えるときの影響は、パンの種類によって差があります。ここでは配合別の注意点と、バターを美味しく保つための保存方法を確認します。
食パン・ロールパンなど配合が少ないパンの場合
食パンやロールパンは、小麦粉に対するバターの配合が少ないパンです。この程度の配合であれば、有塩バターに置き換えても塩分の差はごくわずかで、味や発酵への影響を感じにくいとされています。
塩を細かく計量する道具がない場合でも、無理に調整せずそのまま有塩バターで作って差し支えありません。
ブリオッシュ・菓子パンなど油脂が多いパンの場合
ブリオッシュやクロワッサンのように、バターの配合量が多い生地では話が変わります。バターの量が増えるほど、そこに含まれる塩分も増えるため、味や発酵への影響が出やすくなります。
こうした配合では、前の章で紹介した塩分の計算方法を使い、レシピの食塩量を調整しておくと、仕上がりの差を抑えやすくなります。
有塩バター使用時に見直したい水分・砂糖などの微調整
塩分の調整だけでなく、生地全体の水分量にも目を向けておくと安心です。バターに含まれる水分量は無塩バターと有塩バターでわずかに異なるため、こね上げ時の生地の硬さを見ながら調整するとよいでしょう。
甘みの強い菓子パンでは、塩分がわずかに増えることで味のバランスが変わることもあります。焼き上がりの味を見ながら、次に作るときの配合を見直していく方法もあります。
バターの正しい保存方法
バターは風味が変わりやすい食品のため、冷蔵庫での保存が基本です。開封後は空気や光、においを避けるために、ラップや密閉容器に入れて保存すると品質を保ちやすくなります。
使い切るまでに時間がかかる場合は、小分けにして冷凍保存する方法もあります。必要な分だけを取り出して使うと、風味の劣化を抑えながら長く使うことができます。
| パンの種類 | バターの配合の目安 | 有塩バターでの代用 |
|---|---|---|
| 食パン・ロールパン | 少なめ | 調整なしでも差が出にくい |
| ブリオッシュ・クロワッサン | 多め | 塩分計算での調整がおすすめ |
Q. 冷凍したバターはそのまま使えますか。
A. 冷蔵庫で自然解凍してから使う方法が一般的です。急激な温度変化を避けると、風味を保ちやすくなります。
Q. バターの代わりにマーガリンを使っても大丈夫ですか。
A. 代用は可能ですが、風味や食感が変わることがあります。レシピによって向き不向きがあるため、少量から試すとよいでしょう。
- 配合が少ないパンは調整なしでも差が出にくい
- ブリオッシュなど油脂が多いパンは塩分計算がおすすめ
- 水分量や甘みのバランスも仕上がりに関わる
- バターは冷蔵・冷凍で風味を保って保存する
まとめ
無塩バターがなくても、塩分量の考え方を押さえておけば有塩バターで無理なく代用できます。
まずは自分がよく作るパンのバター配合を確認し、少なめであればそのまま、多めであれば塩分を計算して調整してみてください。
手元にある材料を活かしながら、今日のパン作りを楽しんでいただけたらうれしいです。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の効果や安全性を保証するものではありません。食材の成分や表示は商品や時期により異なる場合がありますので、最新の情報は農林水産省や文部科学省など公的機関の公式サイト、または商品パッケージでご確認ください。

